叶えた願い事を ガラスのびんに ひとつずつ入れて 月に満ちた こんぺいとうを 噛み砕きましょう あなたの赤い頬を 伝うしずくが 燐火を放ち 無重量は 共に等しく 真球を作る 湛えた白波から 熱く灯火 映える彼は誰ぞ 雪のごとく 戸惑いながら 流る川遥か にやけたバイオリンは ひびの入った 音符を落として 影の街を さまよいながら 弦を探している 天球を走る 星を繋ぐライン 両手を伸ばした 空が落ちてこないように 星を探すわたしと 指先に触れるあなたと 互いに手を引き寄せて どこまでも微笑みあって くるりと反転した この街並みを 望んだのは誰? ビルが折れて 無限の空へ 吸い込まれていく 永久揺れる彼方 顔に似た蝶 甘く香る古書 鍵を掛けた 日記帳だけが 人々を拒む 天球に満ちる 蛍火の光は なぞる影の絵を ぼんやり膨れ上がらせて 星に触れるわたしと 指先で紡ぐあなたと 互いを結ぶ両手は 星々を繋いだライン 天球は描く 星と星のライン 天象はすべて 繋いだ手と手のあいだに 星に願うわたしと 紡ぎ出す夢のあなたと 互いに繋いだ両手 すこしずつ離れていって 叶えた願い事を ガラスのびんに ひとつずつ入れて 月に満ちた こんぺいとうを 噛み砕きましょう あなたが夢のなかで 叶えてくれた わたしの願いは この手のなか 固く繋いだ あなたの手のひら