砂もないコンクリート 君は歩く 僕は一歩後ろから たなびく青の葉が邪魔で仕方ないと 笑った君はもういない 瓦礫から仲間はずれ 石ころを蹴飛ばして踏みつけて知らんぷり 君は前だけを見ていて 僕は君だけを見ている 朝焼けと夕焼けの色彩を 青空と水溜りの色彩を 仕方ないなとひとつ流し目 昨日見た夢と今日思いついた空想 ノートに描いたいたずら 君は明日へ歩いて行った 砂もないコンクリート 僕はここで立ち止まったまま ささやかな野の花に名前をつけて呼んだ からかう君はもういない 光るレンズか仲間はずれ 寂しいアルバムをポケットがしわくちゃ 君は前だけ見ていて 僕は君だけを見ている 朝露と太陽の隙間を 星空と暁の隙間を 仕方ないなと諦めずに 踏むことの叶わない影と願っていた容 [03:28.85 二歩下がって 後は追わない 僕の髪を撫でた君は 君の腕を掴んだ僕は 僕の耳に触れた君は 君の背中にしがみついた僕は あのとき いちばん温かかった僕らは もういない