[00:07.480]友子。 [00:09.730]無事に上陸したよ。 [00:12.780]七日間の航海で、 [00:15.280]後戦の荒廃した土地に、 [00:17.060]ようやく立てたというのに、 [00:20.680]海が懐かしいんだ。 [00:24.480]海はどうして、 [00:26.170]希望と絶望の両端にあるんだ。 [00:30.230]コレが、最後の手紙だ。 [00:33.910]後で出しに行くよ。 [00:37.090]海に拒まれた僕達の愛。 [00:39.830]でも、想うだけなら許されるだろう? [00:44.450]友子。 [00:46.450]僕の想いを受け取っておくれ。 [00:49.570]そうすれば、 [00:50.940]少しは僕を許すことが出来るだろう? [00:54.690]君は一生僕の心の中に居るよ。 [00:58.240]結婚して子供が出来ても、 [01:00.800]人生の重要な分岐点に来るたび、 [01:03.920]君の姿が浮かび上がる。 [01:06.790]重い荷物を持って家出した君。 [01:09.780]行き交う人ごみの中に、 [01:11.780]ポツンッと佇む君。 [01:15.270]お金を貯めてやっと買った、 [01:18.020]白のメリヤス帽をかぶって来たのは、 [01:20.330]人ごみの中で、 [01:21.640]君の存在を知らしめる為だったのかい? [01:25.010]見えたよ。 [01:30.070]僕には見えたよ。 [01:33.560]君は、 [01:35.430]静かに立っていた。 [01:39.920] [01:43.290]七月の激しい太陽のように、 [01:46.290]それ以上、 [01:47.410]直視する事は出来なかった。 [01:51.590]君はそんなにも、静かに立っていた。 [01:56.840]冷静に努めた心が、 [02:00.200]一瞬熱くなった。 [02:03.260]だけど心の痛みを隠し、 [02:06.070]心の声を飲み込んだ。 [02:09.380]僕は知っている。 [02:13.000]思慕という低俗の言葉が、 [02:15.990]太陽の下の影のように、 [02:18.800]追えば逃げ、逃げれば追われ。 [02:23.110]一生。 [02:28.720] [02:56.160]あ、 [02:56.660]虹だ。 [03:03.900] [03:07.710]虹の両端が海を越え、 [03:10.140]僕と君を、 [03:11.890]結び付けてくれますように。