妹(いもうと)よ ふすま一枚 隔(へだ)てて今 小さな寝息(ねいき)をたてている お前(まえ)は夜(よる)が 夜が明けると、雪のような 花(はな)嫁衣裳を着るのか 妹よ お前は器量(きりよう)が悪いの、だから 俺(おれ)はずい分心配していたんだ あいつは俺の友達(ともだち)、だから たまには三人で酒でも飲もうや 妹よ 父が死に 母が死に お前ひとり お前ひとりだけが、心の気がかり 明日、お前が心ていく前に あの味噌汁(みそしる)の作り方を書いてゆけ 妹よ あいつはとってもいい奴、だから どんなことがあっても、我慢(がまん)しなさん そして、どうしても、どうしても どうしても、駄目(だめ)だったら 帰(かえ)っておいで、妹よ