いつか聞かせてくれた昔話 今も憶えてる やさしい声 たくさんのキスと 二人きりの世界が全てだった ねえ 気がついていたの 私を見なくなっていく瞳 どんなに叫びたくても 唇を結んでは 飲み込む言葉 こんなに降り積もっては 心を覆い尽くそうとするけれど 精いっぱい笑顔でいるよ だから いかないで 今はもう聞こえない子守唄を ひとり口ずさむ あたたかくて ささやかな記憶 それだけあれば何もいらなかった ねえ 手をつないでいて 私が私でいられるように どんなに忘れたくても 決して消えない傷が ここにあるから 軋んで声をあげては 黒い影に飲まれそうになるけれど 精いっぱい抱きしめるの だから 泣かないよ ねえ 手をはなさないで 私が私でいられるように どんなに忘れたくても 消してはいけない日々が ここにあるから こんなに小さな腕で 何も守れないかもしれないけれど 精いっぱい抱きしめるよ だから 泣かないで