[00:00.300] [00:18.300]処刑場が地面の下から見えた [00:21.200]実にそこは上下左右も無かった [00:23.800]身を任せ、ただ沈んで行く [00:26.300]冥途の旅支度、八百里を歩く [00:29.783]死手の山の麓には [00:31.791]曼珠沙華と曼荼羅華の [00:34.300]それは美しいお花畑 [00:35.635]賽の河原まるで俵積まれた [00:37.782]石の側で崩れ去って踏まれた [00:39.936]塔を建てる、更から [00:41.448]一重積んで父の為 [00:43.577]二重積んで母の為 [00:45.100]三重で西を向き [00:46.120]樒ほどなる手を合わせ [00:48.200]逢瀬からの十月十日経って受けた生が [00:51.300]**放れ見せる仕種 [00:52.345]父母が恋し握る小石 [00:54.800]手足擦れてただれ [00:55.600]一つ、二つ、三つ、四つ [00:56.858]指先より出づる、血の滴が功徳 [00:59.810]もののあはれ、世は無常なり [01:02.200]自業自得、因果応報は避けて通れぬ道理 [01:05.516]鏡照る日眼、鉄の杖と鞭を持って [01:08.680]獄の鬼が塔を打ち散らす、一つ残らず [01:11.656] [01:24.126]三途の川、此岸から彼岸花 見渡せば霧の先は、千里の幅 [01:29.552]罪の浅き者は 膝が浸かる山水瀬 [01:32.927]舟の渡し賃は 袖に縫った六文銭 [01:35.766]罪深き者は 取って置きの江深淵 [01:38.849]信念試される激流は、矢の如く速く [01:42.753]波は山頂のように高く [01:44.670]川上より巌石、五体を打ち砕く [01:47.328]死後の世界、死ぬことさえ許されず [01:50.872]耐えて幾度生き返っても、苦難は絶えず [01:53.775]水底に沈めば大蛇が口を開け [01:56.530]水面に浮き上がれば夜叉の弓が待ち受け [01:59.557]川の畔**場、衣服剥ぐ奪衣婆 [02:02.831]翁が衣領樹の木の枝にかけて量れば [02:05.811]罪の重さ決める渡り裸一貫 [02:08.649]未だこれで序の口、七日七晩 [02:11.805] [02:35.942]対岸に辿り着きし亡者、 [02:38.030]十王の御前に立ち、太鼓判か盥廻し [02:41.691]第五番の閻魔王庁含み、 [02:44.640]七日毎にある、七回の業の裁き [02:47.567]水晶の浄玻璃を始め八枚の鏡 [02:50.875]法廷で生前の行為に鑑み [02:53.745]檀荼幢、閻魔帳を照らし合わせ [02:56.509]ここで嘘がバレた者は舌をひっこ抜かれ [02:59.526]六道の判決を前に慚愧と懺悔 [03:02.917]裁判長の尋問が庭に轟いた [03:05.758]「なぜ、これほどの長い罪状を犯したの か、言いたい事はあるか」 [03:10.359]亡者はこう答えた [03:11.762]「言う事はありませぬ、もう来し方から は逃れとうございます」と淚 [03:16.990]閻魔羅闍「嘘はなくとも悔い改めておら んとは、焦熱地獄を命ず」 [03:22.227]嗚呼、閻魔様様様 [03:23.965]庄之助は寺の縁側で [03:26.161]汗まみれで目覚めた [03:27.680]ああ、こんな夢は嫌だ、嫌だ [03:29.639]逆夢であって欲しいものだ [03:32.036]もっと良い夢が見たいと [03:34.095]再び転寝を始めた [03:35.935]