まだ春の吹雪が来る 「春はもうすぐだ」と言った 木蔭に隠された月 孤独な欠片が生まれ 何処の誰たちの賑やかさ わたしの傍に届かないから 遠く遠く場所で一人 ただ見守って日々 耳に響く人々の声 わたしが聞こえるはずなのに どうして 別の世界みたいに ただ人知れず夢 両手で集まった宴会がまた始め 赤い蝶は飛ぶ月夜で それでも伊吹の存在が知れず知れずに逝く 杯から湧き出す彩り 甘い甘い雫の涙 透明なカラスのように 時間を忘れよう 砕けた灯火で歌い続く 夢の伊吹が変わらない この影は月と共に 闇を溶け込むよう