懐かしい気持ち 今日は生徒会長の俺が全校生徒の前で新学期の挨拶をする日だ。 体育館に着くと、もう生徒が並んでいる。 俺はそれを横目に見ながら、舞台そでへとに入った。 「ああ~ごめん。目覚ましがならなかった。」 「何?もう出番なのかぁ?」 舞台そで集まっていたほかの生徒会役員に早くと背中を押される。 俺はまっすぐ舞台へ進み出た。 生徒、先生、体育館内にいる全員の視線が一斉に俺に集まる。 「みんな、おはよう。まだ夏休みでだれてる奴もいるか?でも、今学期は文化祭もあるし、だらけてる暇ないぞ!そろそろそっちの準備も進めていくから、みんなよろしくな!」 簡単な挨拶をして、俺は深くお辞儀をした。すると、体育館内から一斉に拍手が起こった。 「ふう、こんなんもんだろう。」 退場しようとしたその時、拍手をする生徒の中で、一人、目に留った女の子がいた。その女の子を俺はどこかで見たことがある。 「廊下?学食?いや、違う……まさか、いや、でも……」 俺は自分の目を疑った。彼女は俺が今朝夢で見た初恋の女の子によく似っている。性格に覚えているわけじゃない。 でも、彼女を見た瞬間、懐かしいようなものを感じた。俺はもう一度彼女の姿をしっかり見ようと、引き返してマイクを握った。 「その女子、そう、お前だ。何年生だ?」 「二年生か。部活は?」 「入ってない?なら、今日から生徒会に入れ。下校後生徒会室で待ってる。以上だ。」 体育館内が騒然となった。俺はそのどよめきをせに、舞台そでへとに戻った。 こんな運命って、本当にあるのか!彼女は本当に初恋の女の子なのか?気になる……話したい……直接会って、話せば、何かがわかるかもしれない…… ---海原の根柔ら小菅あまたあれば君は忘らすわれ忘れや--- 気になる人が大勢いるから、私は貴方のことを忘れかけていたのかもしれない。 これから、二人にどんな未来が待っているのか。俺たちはお互いの運命の赤い糸がまだ誰の小指に結び付いているのかを知らない。