運命の赤い糸 彼女と出会ったあの日は、まだ夏の暑い目差しにむせ返るほどだったのに。いつの間にか、外には秋の涼しい空気が漂っている。 彼女も生徒会に入ることを了承してくれて、今日は書記として、ほかの役員に負けないぐらいよく働いている。 「ん~、職員室に書類は出したし、生徒会室に戻るか。あっ!すみません!書類、今拾います。って、お前かぁ。ずいぶんたくさん持ってるなぁ。一人じゃ重いだろう。貸せ。俺が持ってやる。」 「そうだ。お前、小さい頃雪の多いの町に住んでたことはないか?」 「転勤が多かったから、よく覚えてない?ん、そっか。俺、昔お前によく似ってる女の子に会ったことがあるんだ。 だから、お前を一目見て、その子だと思って、最初声をかけた。 なんて言ったらいいか分かんないけど。会った瞬間に運命を感じたんだ。お前は運命とかって信じる?」 「ふんふん~赤い糸は信じてるって。可愛いところもあるじゃなか。 俺も信じてる。だって、すれ違っただけでも、一緒忘れられない出会いになることがあるから。 それって、運命だと思わないか?お前を初めて見た瞬間、俺は自分の運命の赤い糸がお前と繋がってる。 そう思ったんだ。でも、俺だけがそう思ってても仕方ないよなぁ~」 ---にほ鳥の息長川は絶えぬとも君に語らむ言尽きめやも--- 川の流れは尽きることがあっても、貴方に話したいことは尽きない。 俺は初恋の女の子を思うたびに、まるで失恋をしたような気持ちになった。 でも、今は違う。彼女が思い出さなくても、また一緒にいられるだけで、俺は嬉しかった。 彼女が全部思い出した時、俺はもう一度言いたい。 お前のことがずっと好きだったって……