[00:00.87]時間を止めて [00:01.27]文化祭が終わり、俺は一人で報告書を作っていた。 [00:10.54]「ああ~こんなものか。あとで職員室に出せば終わりかな。ああ、外も真っ暗だな。そろそろ片付けてるあいつを探しに行って帰るとするかぁ~」 [00:40.48]生徒はほとんど下校していて、物音がしない。 [00:46.68]「夜の校舎って本当、不気味だよな。早く見つけて帰るか。」 [00:54.27]長い渡り廊下渡りきって角を曲がったその時、何かにぶつかった。 [01:00.86]「なっ!」 [01:03.50]女の子だ。 [01:06.34]「大丈夫ですか?」 [01:09.24]俺はぶつかった女の子を立ったせようと、手を差し伸べたところで気がついた。 [01:15.30]「お前だったのか!ごめんな、驚かせて。怪我とかしてないか?あれ、お前、泣いてないか?」 [01:26.66]「何?泣いてない?嘘つけえ。ちょっと涙目になってるぞ。手見せてみろ。あ、ちょっと擦り剥いてるなぁ。後で手当てしてやるよ。お前、まさか俺のことを探してたのか? [01:48.14]偶然だな。俺もお前を探してる途中だった。こんな形で会えると思わなかったけど、会えてよかった。ふん~これも一つの運命……だよな。 [02:05.37]---天土の極のうらに吾が如く君に恋ふらむ人は実あらじ--- [02:15.76]空の果てにも、地の果てにも、私ぐらい貴方を思っている人はどこにもいない…… [02:25.09]俺は彼女の手を放すのを忘れて、ずっと握っていた。いつもの彼女なら、すぐに手を放せと言うのに、今日だけはなぜか大人しくなった。 [02:39.42]もし運命が存在するなら、このまま時間を止めてめてほしい。月明かりの俺たちを照らず、その陰に赤い糸が映っていないか……俺は必死に探していた。