忘れた日はない 文化祭から数日経った。放課後、俺は生徒会室に行く途中、一人で歩いている彼女を見つけた。声をかけようか悩んでいると、彼女は俺の姿に気がついたのか。こっちへ向かってきた。 「これから生徒会に行くのか?」 「あ、俺も。」 「え、元気がない?そんなことはない。ただ、ちょっと悩み事あるだけだ。」 「悩み事なら相談に乗る?じゃ~お言葉に甘えようかな~お前は、初恋の人って覚えてるか?」 「覚えてない。そっか。実は、ずっとそのことで悩んでるんだ。小さい頃一緒に雪だるまを作った女の子がいるんだ。それ以来会ってないけど、ずっと忘れられない。 やっぱり自分がこの世に生まれてきて、一番最初に恋をした人だからかな。今も初恋の女の子の夢をときどき見るころがある。その夢を見た朝は、絶対に悲しい気持ちになるんだ。」 「何?もう一度初恋の女の子に会いたいから悩んでるかって?ふんふん~あたり。さすがだな。ずっと考えてたんだけど。 初恋の女の子に会ったら、面と向かって言いたいことがあるんだ。俺は、出会った時からずっと好きだった……今も……忘れた日なんてないって…… ---秋の 木の下隠り行く水の 我れこそ増さめ 思ほすよりは--- 表には出さないけど、私のほうが貴方を思っている。貴方が私を思うよりも。 俺は彼女の目をまっすぐ見つめた。心の中でお前に言ってるんだ。お前が俺の初恋なんだと、何度も呼びかけた。 胸が苦しくて、呼吸がうまくできない。早くこの気持が彼女に伝わればいいのに……彼女が全部思い出してくれればいいのに……