好きって気持ちで全部満たして 保健室に彼女を運んで、ベットに寝かせた。保険医は少し寝てれば目が覚めるからと言って、職員室に戻って行った。 「はあ~まったく、人騒がせな奴。熱があるなら早く言えよ。」 俺は彼女の手を強く握った。 「な~聞いてほしいことがあるんだ。お前が思い出さないなら、言うつもりはなかった。でも、やっぱり言いたい。 俺の初恋はお前なんだ。顔も曖昧にしか覚えてなかったし、本当にお前かって、何度も疑った。でもな、お前と一緒にいて、いろいろなお前を知て行くたびに、確信したんだ。 俺の運命の赤い糸は……お前と繋がっている。俺は、お前の笑い顔とか、怒った顔とか、拗ねてる顔も……全部……全部が好きなんだ。お前じゃなきゃだめなんだ。 好きで好きでどうしようもないんだ。早くお前の目を見て、ちゃんと伝えたい。お前が好きだって、もう絶対迷わない。お前の心の中を、俺の好きって気持ちで全部満たしてやりたい。 ---君に恋い いたもすべなみ 奈良山の 小松が下に 立ち嘆くかも--- 貴方が恋しくて仕方がないので、今貴方を思いながら、隠れて泣いている。 風の音が聞こえる。俺は、返事のない彼女の手を握りながら、窓を叩く、風の音だけを聞いていた。