白椿 生徒会の後輩たちが開いたクリスマスパーティーに俺は呼ばれていた。楽しい時間をあっと言う間に経ち、明日から冬休みと言うことで、みんな早目に解散を始めていた。 彼女と一緒に帰る約束をしていた俺は、彼女が教室に忘れものを取りに行っている間、一人で待っていた。 「遅いなぁ~あいつ……なかなか戻ってこない。飲み物買ってるのか?でも、それにして遅すぎるだろう。ちょっと見てくるかぁ……」 「はあ~廊下は寒いなぁ~ん?あいつ……あんなところで何やってるんだ?」 体育館横の垣根を見つめている彼女を見つけた。 「おい!そんなところでなんにやってるんだ?どうした?なかなか帰ってこないから迎えに来たんだぞ。」 彼女はこれっと垣根を指差した。その方向を見ると、地面に一つだけ白い椿の花が落ちていた。 「あぁ~椿か……椿の花は綺麗に咲いたまま落ちる。この落ちてる花も寿命が分かったから、自分で落ちたんだろう。」 「可哀相?んん、そうだなぁ~でも、こうしてやれば、この椿はまた綺麗に咲くことができる。ほら、こうやって、お前の髪に飾るは咲いてるみたいだろう。お前に白い椿はよく似合う。綺麗だ。」 「な~今、俺が考えてること、分かるか?」 「分からない?お前わざとじゃないよな。ま、いや、教えてやるよ。お前のキスがほしい……」 「ふう~ずっとこうやってお前とキスしたかった。ようやく夢が叶ったよ。どうした?」 「恥ずかしい?ふう~大丈夫、照れてるお前も可愛いよ。」 ---青山を 横切る雲の いちしろく 我れと笑まして 人に知らゆな--- 人目につくように貴方と微笑みあっているのが、人に知られませんように…… この先もずっとこうして彼女を抱きしめていたい。ようやく会えた俺の運命の人を、もう放したくない……俺は、ずっと心の中でそう願っていた。