予行練習 遊園地の帰り道、俺たちは寄り道をして、公園のベンチに座って話していた。 「お待たせ。飲み物買ってきた。あついから気を付けて飲めよ。ん?お前、指輪ずっと見てるな~そんなに見てるんなら早く付ければいいのに。」 「何?もったいなくて付けられない?まったく、お前って奴は……」 その時だった。俺と彼女の間に白いふわりとしたものが落ちてきた…… 「雪だ。今年初めて見た。ふ~ははは~お前、頭の上に雪が付いてる。でも、取ってやらない。ふ~怒るなよ。 だって、このままにしておけば、雪がウェディンぐドレス白いベールみたいになりそうだろう。な、さっき渡した指輪貸してくれないか?」 「ほら、左手出せよ。俺は病める時も健やかなる時も、お前を妻とし、一生を愛することを誓います。この指輪を、左手の薬指に嵌めておく。後もう一つ、これが誓いのキスだ。 これでお前は全部俺のものだ。まあ~今のプロポーズは予行練習だ。約束する。いつかちゃんとした形で、もう一度お前にプロポーズする。 言っとくけど、俺は実現できると思ったことしか口に出さない。俺が、お前に白いウェディングドレスを着させてやるよ。こうやって雪が降る寒い夜は、ずっと手を繋いでいてやる。 お前の冷たい手は、俺が温める。そうやって、これからも手を繋ぎ合って、ずっと一緒にいたいんだ。 ---刈り薦の 一重を敷きてさ寝れども 君とし寝れば 寒けくもなし--- どんなに寒い夜も、貴方と二人でいれば、ちっとも寒くない。 「待って、返事は聞かなくても分かる。だって、俺たちは運命の赤い糸で繋がってるから。未来は、俺たちがこれから二人で決めて行こうな~」