醒めない夢 「何時まで寝てるんだ?おはよう。目覚めたか?いつまでも起きないから、眠り姫を起こす為にキスしてみた。ふう~お姫様は休みの日だとほんっとに起きないなぁ~」 「俺?ああ~ちょっと目が冴えて、だいぶ前から起きて窓の外を見てた。ほら、雪が積もってるんだ。昨日の夜から降ってたらしい。 もうこれで一緒に雪を見るのが何回目かな~さすがの俺も数え切れなくなってきた。」 「ん?どうかしたのか?指輪が変ってる?驚いたか?お前が寝てる間こっそり変えておいた。お前の驚く顔が見たかったから。俺さ~お前に言いたいことがあるんだ。 聞いてくれるか?俺は……今まで愛してるとか、好きとか、あんまりお前に言ってこなかったよな。そんな簡単な言葉でお前に思いを伝えたくなかったから。 だから、毎日愛してるって言う代わりに、これからの人生は、毎日お前に幸せだって思わせたい……結婚しよう。お前はどう思う?俺と結婚するの嫌か?」 「何?聞こえない。な、もう一回耳元で言って。」 「本当にいいんだな。後悔しないな。俺と結婚して、いいんだな……」 「ありがとう。お前とこれからも一緒にいられて嬉しい。」 「え?結婚する前に愛してるって言ってほしい?んっ、仕方ないなぁ~ただし、ほかの奴らが言うのと俺が言うのとではこの言葉の重みは違う、そのことよく覚えておけよ。愛してる。もう、二度と言わないからな。」 「もう一回?!そんなこと言う奴にはお仕置きだ!捕まえた!今日はもう少しだけ、このまま手繋いで寝てよ。たまにはこんな休日もいいだろう。お休み。夢の中で会おうな~」 ---暮さらば 屋戸開け設けてわれ待たむ 夢に相見に 来むとふ人を--- 夜が来たら、ドアを開けて貴方を待つ。夢で会おうと約束したから…… 手を繋いだまま、同じ夢を見続けよ。十年後も、二十年後も、そんな幸せが続くよう。醒めない夢を、お前とずっと見ていたい。 もし生まれ変わって、まだお互いを見失ったら、今度も必ず、俺がお前を見つけに行くよ。絶対約束する。この世界に一人しかいないお前を……愛してる。