離愁 慌しい别れの日には 汽笛は 鸟たちのする哀しい挨拶のやうに呼びかはし あなたたちをのせた汽车は 峠をくだつた 秋の 染みついた歩廊のかげに 私はいつまでも立ちつくし いつまでも帽子をふつてゐた 失はれたものへ 幼きものへ