[ti:] [ar:] [al:] [offset:0] [00:02.43]みまかれる美しきひとに [00:09.38]まなかひに几たびか 立ちもとほつたかげは [00:14.57]うつし世に まぼろしとなつて 忘れられた [00:21.31]见知らぬ土地に 林檎(りんご)の花のにほふ顷 [00:26.47]见おぼえのない [00:28.21]とほい星夜の星空の下(もと)で [00:33.91]その空に夏と春の交代が慌しくはなかつたか [00:41.63]尝(かつ)てあなたのほほゑみは [00:44.57] 仆のためにはなかつた [00:47.55]あなたの声は 仆のためにはひびかなかつた [00:54.18]あなたのしづかな病と死は [00:57.71] 梦のうちの歌のやうだ [01:03.94]こよひ涌くこの悲哀に灯をいれて [01:08.35]うちしほれた乏しい蔷薇(ばら)をささげ [01:12.43] あなたのために [01:14.95]伤ついた月のひかりといつしよに [01:20.35]これは仆の通夜だ [01:24.07]おそらくはあなたの记忆に [01:25.32]何のしるしも持たなかつた [01:28.79]そしてまた [01:29.30]このかなしみさへゆるされてはゐない者の―― [01:36.84]《林檎みどりに结ぶ树の下に [01:39.91]おもかげはとはに眠るべし》