坂の多い 街はずれに 鳴きだした カナカナ その蜩 ふり向けば 風ヶ街の方から 吹き上げて 想い切りまわる風車 染み透る 夏のかげはそこここに 背っつかれて 駆け上がると いらか波打つ 上に蟠る 雲間に ゆっくりと 消えゆく銀翼よ 過ごしやすくなった その日の夜の事 虫の声にまぎれたバタつく蝉 虫の声が 雨音にとってかわり 瞼の銀幕に広がるパノラマ 想い切り まわる風車