[00:21.60]三つの軌跡、 [00:25.37]三つの選択、 [00:28.28]これは、誰かが生きた三つの証。 [00:35.17]それは、儚いひとでした。 [00:40.59]心を殺すことに慣れすぎた、硝子のようなひとでした。 [00:46.43]“たとえば”が好きなあのひとは、 [00:50.20]閉ざした心を解かせないまま、ひとり、ひとりきり沈んでいくのです。 [00:59.08]“たとえば”が好きなあのひとは、 [01:02.85]塗り重ねた仮面の外し方を忘れ、息も出来ないほど苦しんだのだろうと。 [01:10.49]そう、きっと、 [01:13.58]救われたい願い、 [01:16.55]暴かれたい理由は存在するのだと。 [01:19.78]どんな嘘にも。 [01:23.12]そう、きっと、 [01:26.14]そうしてあのひとは、ひとり、ひとりきり死んでゆくのです。 [01:35.59]それは、強いひとでした。 [01:40.00]欲しがることを恐れない、空のようなひとでした。 [01:45.03]いつか朽ち果てる楽園を夢見ても、 [01:49.07]幸せの影を残したまま、 [01:52.32]何を信じれば良いのかもわからず、 [01:55.79]ただ全てを愛する強さ。 [02:00.04]ただ全てを受け入れる弱さ。 [02:05.05]そんな裏切りの代償は、還ることのない、独り善がりの愛なのかもしれない。 [02:14.00]それは、哀しいひとでした。 [02:19.14]届かぬ想いに身を焦がす、焔のようなひとでした。 [02:24.32]過去の影に縛られたまま、 [02:28.08]足枷を増やし、 [02:29.93]記憶を辿るほど苦痛を伴う。 [02:33.94]もう一度、願うことは罪なのだろうか。 [02:39.91]もう一度、その手をとりことはできないのだろうか。 [02:45.60]そんあ欲望さえ、あのひとは自らの火で、全て焼き尽くしてしまうのだろうと。 [02:53.44]そう、偽り続けた想いごと、全て。 [02:59.14]伸ばされた手にさえ気付けないまま、きっとあのひとは痛みの劫火に想いを葬るのです。 [03:07.99]三つの軌跡、 [03:12.76]三つの選択、 [03:15.85]三つの生きた証に潜む、『0』は―――。