青ざめた街は恥ずかしそうに少し顔を赤らめて そしてやがて朝になって途切れた時間を繋ぎ合わせる人たち 繋ぎ合わせるのが下手なあのコはいつものバスに間に合わない 「焦っても何も始まらない」があのコの口癖 何も始められないカレはとりあえずベランダにて 肺が痛くなるくらい深呼吸をしてみる とりあえず首をポキポキいわせながら慌しい地上を眺める とりあえず何を始めようか考えてみる とりあえずな人生に焦り始める 古ぼけたビルを横切ってあのコは歩いていく 走ればあのバスに間に合うかもしれないのに いつものあのコが歩いていく髪の寝癖を風になびかせながら カレが何度か見た風景 生まれる前から見ることになっていた風景 カレはとりあえずその風景を眺めていた あのコはふとビルの上を見上げ冴えないヒトに目が止まり 目と目が合い目を逸らす あのコと目と目が合った瞬間なぜだかカレはふと思う 「焦っても何も始まらない」 とりあえず今日もボクの一日が始まる