[00:01]一本の若い杉と [00:05]一人の小さな男の子 [00:09]彼らの生きてる世界で起こる [00:15]とある一つのエピソード [00:20]とてもとても小さなお前が [00:25]その手で摑み僕に登り [00:29]生意気に僕の見るこの広い景色を [00:35]毎日見に來るようになった [00:40]ずるいな僕のこの [00:45]枝じゃその手のように摑めないの [00:51]より広い世界を見る [00:56]術を僕も欲しいよ [01:01]少年は語りかけてきた [01:07]「いつか大きな人になれたら」 [01:12]「世界中を見渡したいんだ」 [01:16]「そしたらどんなんか教えてやるよ」 [01:22]植物たちは人とふれあい [01:28]意識が芽生え感情が育つの [01:32]君から僕は教わったよ [01:37]始めての友達 [01:43]僕はただの杉の木だけどありがとう [01:51]それから長い年月を [01:55]君と共に過ごしてきた [02:00]お互いに心も成長してきた [02:05]ああなんて幸せだろう [02:10]君は太い枝に座り [02:16]ある日寂しそうにつぶやいた [02:21]明日遠くの町へ移り住むんだ [02:26]此処には來れなくなるよ [02:31]どうして僕の根じゃ [02:36]その足のように歩けないの [02:42]君と離れたくない [02:46]ともに行きたいよ [02:53]友情の證としてと [02:57]君は古くさい腕時計を [03:02]僕の枝にくくりつけたの [03:08]大切な時計と教えてくれた [03:12]また合う日までこれを預ける [03:18]いつか必ず會いに來ると [03:22]約束しよう忘れないよ [03:28]ありがとうさよなら [03:54]あれから何年経ったのか [03:59]僕には分からないよ [04:04]生きているのか死んでるのかさえ [04:09]最早分からないよ [04:16]久しぶりに僕の元へ [04:20]人間たちが集ったよ [04:25]皆哀しげに僕の根元に [04:29]大きな黒い箱を埋めた [04:35]それから毎日君の [04:40]夢を見ているんだ [04:45]暖かいのに苦しいのは何故 [04:55]數日が過ぎ若い男が [05:00]僕の元へ一人訪れて [05:06]大切な約束の [05:11]時計を僕から取り外したの [05:16]見た事ある顏の男だ [05:21]そうだこないだ見た男だ [05:26]返してよ泣きそうな僕を [05:31]見上げてかれは言う [05:36]「約束はもう果たしたからだから…」 [05:50]やっと気づいた今までの夢 [05:55]そして僕の元で眠る君よ [05:59]受け入れずにごめんなさい [06:05]もう大丈夫だよ寂しくないよ [06:09]さあともに行こうあの太陽目指して [06:15]世界中を共に見渡してやろう [06:21]また會えて嬉しいから [06:25]一言おかえり [06:31]僕はただの杉の木だけど [06:37]ありがとう [06:41]これからもよろしくね