[00:12.300]「どこにでもあるような幸せな家族。 [00:16.510]国中に漂う不自然なまでの魔女への信仰にも [00:20.880]どうにか順応して [00:24.060]貧しいことなんて 笑い飛ばせる眩しい家族【famile】 [00:36.330]小さな家 桜草【primevere】の咲く 暖かな小庭【jardin】 [01:02.940]咲く花のように 綺麗な顔した [01:11.500]フランとレスター 両親の自慢だった双子 [01:21.040]人見知りのフランチェスカ [01:25.220]レスターの背を離れずに [01:30.510]「お兄ちゃんなしでは [01:35.470]村の外にも出られないんじゃない [01:42.100]からかわれて頬膨らませた 優しい春の日 [01:54.350]「御機嫌よう、みなさん [01:56.650]幸せな日々をお過ごしのところごめんなさい [01:59.870]じゃ……終わりにしましょう [02:03.460]「全てが引き裂かれたのは突然のこと [02:06.940]たった一人で現れた魔女は彼らの言葉を待つこともなく [02:12.440]愉しむように両親を殺し [02:14.760]そのまま双子を連れ去ろうとして [02:18.170]眼前の凶事を受け入れることのできない少女は [02:22.310]ただ虚ろに叫び続けていた [02:24.950]「嘘……いや……いやぁぁぁぁっっ [02:27.470]眼下に広がる血と血の逢瀬は 思慕の跡を [02:33.120]命絶たれても尚 描き輝く [02:39.290]稚拙な御伽噺だと信じた "絆狩り"は [02:45.230]突如前触れなく光を壊した [02:51.520]何の音も聞こえない 自分の声も [02:57.580]彼女は全てを拒絶するように叫び続け [03:07.240]遥か蒼穹の空へと撃ち鳴らすのは [03:13.280]虚構求め 揺れる心の警鐘か [03:22.390]「ねぇ、煩い。お前はもういいや [03:26.480]「囁く魔女は、叫ぶフランチェスカに刃を向ける [03:30.630]けれど刺し貫かれるその刹那、 [03:34.020]レスターがその凶刃を己の身を呈して受け止めて [03:38.310]「妹だけは、こいつだけは助けてやってください [03:41.920]殺すのなら俺に [03:44.510]いつだって後ろにいて [03:50.440]いつだって守られて [03:56.870]自分も怖いくせに 小さく震えてるのに [04:02.920]どうしてなの?いつもみたいに [04:09.150]瞳を細めて 安心させるみたいに [04:15.250]笑って背に庇い続けてくれたのは [04:24.790]「フランチェスカは、 [04:26.590]兄の手から流れ出る血に再び深い衝撃を受け [04:30.610]声を失ってしまう [04:32.690]まるで、この瞬間の悲鳴で一生分の声を発し尽くしてしまったかのように [04:38.110]その光景を嬉しそうにみていた魔女は [04:41.810]兄であるレスターだけをその場から連れ去って [04:44.870]少女の傍に残されたものは [04:47.870]寄り添いあって倒れ伏す両親の死体と、血の香りだけ