送り火を焚く轩先に妹背鸟(せきれい)の 短く鸣いて庭を飞ぶ影 盂兰盆会(うらぼんえ)精灵船の船溜まり 幼子の花火ゆらりと香る 折り悬けの灯笼白く仄めいて 在りし日の君の小さき写真 向日葵の花の仅かにうつむける 影を眺むる影に声なし 日の暮れのひかり胧に黑扬羽 船の舳先にひらり留まれり 爆竹に呜咽のごとき声举げて ひしめく船出别れの始め 生命とはかくも重しと知りながら 日々の轻さを悔やむ夕暮れ 港にて手を离したるその时に 永久(とわ)の别れを吟(うた)いしものを さようなら 声を限りのさようなら 振り仰ぐ夜空 鹊の桥 面影の君を背负いて明日から 生きてゆくから生きてゆくから さようなら 声を限りのさようなら 仆と出会ってくれて ありがとう