お父さん、なんだお話して、おはなし おはなし?ママは? 居なかった、ねえ、お話して じゃないと、寝らない… よしよし、困った奴だな ふわあ、やった… んん、それじゃ、あの話にしようか 暗い暗い夢のお話 「そう、ちょうど今日のような、 不気味な風が町中を吹き抜ける夜。 なんだか背中がぞわっとして、 暗がりに何か隠れているんじゃないかって 不安になる、そーんな夜。 こういう夜にはね、大人は皆内緒にしているけれど、 こわーいこわーい「悪夢の住人達」が夢の中からやってくるんだ 大丈夫、この時間ならまだ大丈夫さ。 でもね、もし彼らを見かけても絶対についていってはいけないよ。 彼らの歌う不思議な歌を、絶対に聴いてはいけない。 ぎゅっと耳を塞いで、背中を向けて、 ベッドの中で静かに寝たふりをするんだ。 もしついていってしまったら、 暗い暗い悪夢の中に、一生閉じ込められてしまうから」 決して聴いてはいけない子守唄 遠く遠く遠く響いている——