中島みゆき - 「元気ですか」 「元気ですか」と 電話をかけました あの女(ひと)のところへ電話をかけました いやな私です やめようと思ったけれど いろんなこと わかってるけれど わかりきってるけれど 電話をかけました あの女(ひと)に元気かとききました あの女(ひと)に幸せかとききました わかっているのに わかっているのに 遠回しに 探りをいれてる私 皮肉のつもり 嫌がらせのつもり いやな私…… あいつに嫌われるの 当り前 あの女(ひと)の声は濁りがなくて 真夜中なのに つきあってくれる きっと 知ってるのに あいつ 言ったでしょう 私のこと うるさい女って 言ったでしょう ……そうね あいつは そんな男じゃない わかってる あいつのこと うるさく追いかける私 誰だって知ってる でも あなただけ笑わなかった やさしいのね やさしいのね あの頃はもう 愛されていたから? ……何を望んでるの あたし あの女(ひと)もいつか 飽きられることを!? あの女(ひと)は いつまでも 電話につきあってくれて あたしは別に話すことなんかない 声をきいてみたかっただけよ どんな声があいつは好きなの どんな話し方があいつは好きなの ……私 電話をかけました 「あいつがやけに あなたの絵をほめるのよ」 「あたしも あの絵 好きだな」 「それにね あのモデル 実は あたしの彼に…そう 彼に ちょっと似ててね……」 ……ウソ ばっかり…… 誘いをかけてるだけよ あいつの話が出ないかと思って 「明日どうするの」だって そんなこと 知ったことじゃ ないわよね どうして そんなに答えるの わかってるのよ あたし わかってるのよ あたし ほんとは 「そこにいる あいつを 電話に出して」 って言いたいのよ あの女(ひと)が最後まで しらを切ったのは 最大限の 私への思いやり わかってる あたし わかってる あの女(ひと) わかってるのに わかっているのに うらやましくて うらやましくて ……つき合ってくれてありがとう でも今夜は 私 泣くと思います うらやましくて やっぱり うらやましくて うらやましくて うらやましくて 今夜は 泣くと ……思います おわり