[00:01.050]第九巻 883ページ [00:05.730]盲目の詩人 ルーナは 静かに唇を開いた [00:12.110]これより歌うは…ある娘が 大切なモノに辿りつく迄の詩 [00:20.830]苛酷な旅よ 困難な途よ それでも娘は決して諦めなかった [00:30.480]物語は運命を呪うより 苦しくとも詩い続ける途を選ぶ [00:39.560]いづれ歴史が全てを葬りさろうとも 今は唯…瞳を閉じて聴いておくれ [01:08.360]愛しい人よ アナタは何処に [01:16.910]手掛かりひとつなく [01:24.970]孤独な旅の 道連れの詩は [01:33.720]遠い空へ 霞んで消えた [01:42.020]天堕つる雨 手の平に [01:49.370]零れ落ちた雫(なみだ)… [02:02.120]幾つもの深い森を抜けて 険しい山を越え [02:19.070]町から街へ 知人(ひと)から他人(ひと)へと [02:27.840]想い人を 尋ね歩いた [02:36.250]天翔ける追想(ゆめ) 星空に [02:43.930]誓った接吻(やくそく)は [02:50.970]「嗚呼…エンディミオ…」 [02:52.950]虚ろな世界を 夕闇が包み込む [03:01.260]帰れぬ私は 独り何処へ往く [03:13.000]予言書が肯定する史実 争いの歴史 [03:18.130]戦禍という名の爪痕 大地を灼き尽くす焔 [03:23.330]家族…恋人…愛する者の消息も知れず [03:28.940]多くの者達が為す術もなく引き裂かれた時代 [03:34.840]娘の旅は 道連れとなった詩を遡るように [03:39.580]とある城で牢番をしていたと言う男へ [03:42.650]そして…推測から確信へと辿りついてしまった [03:49.610]切なくも懐かしき調べ その詩を綴ったのは [03:54.870]挫けそうな私をいつも支えてくれたのは [04:04.780]恋人(アナタ)が最期に遺してくれた この名も無き詩よ [04:15.990]「運命よ…例えお前が瞳から光を奪い去ろうともこの唇からは詩を奪えない…」 [04:41.630]辿りつく詩は 夕闇に陽を灯し [04:49.700]枯れてなお花は 凛と其処(そこ)に咲く [04:58.350]嗚呼…吹き荒れる悲しみの [05:00.260]嵐が訪れ 全て薙ぎ倒しても [05:08.650]大切なモノは 絶えず此処(ここ)に在る [05:16.960](──大切な人の 辿りつく詩) [05:20.330]君よ…大切なモノに辿りつく途を見つけたら もう迷うことなかれ [05:25.500](──大切な人の 辿りつく詩) [05:28.560]例え茨の途であろうとも 歌をくちずさめばそれもまた楽し [05:33.800](──大切な人の 辿りつく詩) [05:37.240]詩えない人生になど 意味はないのだから [05:42.170](──大切な人の 辿りつく詩) [05:52.400]大切なモノへと…辿りつく場所へと [05:59.500]白鴉が目指す地平…あの空の向こうへ