さよなら、メルツ cinema staff 目隠しをされたまま、 どこに行くのかと訪ねようと返事はない。 目隠しを外されて、 その重い口を割って言った。 この世の終わりと。白い笑みを浮かべ。 そこには何もなかった、闇以外は。 もう僕は二度と嘘をつけない。 舌を抜かれちまったこの喉では。 もう僕は二度とたどり着けない。 あなたのもとへは。 彼は言った。過去などいらない。 形がないのにどうしてさ? 罪を重ねた僕は、その先に夢をみる。 そこには何もなかった気がしていた。 闇に慣れた目でいま見つめよう。 もう僕は二度と海に行けない。 きつく縛られちゃったこの脚では。 もう僕は二度とたどり着けない。 あなたのもとへは。 僕らの最後の言葉。 「おはよう、そしてさよなら、かもめよ。 また会えるといいね」