[00:17.07]それでも人は、醜くも生きようとする。 [00:20.10] [00:23.46]それを私は、とても美しいと思う。 [00:28.00] [00:38.01]記憶の音色は風に運ばれ、空へと舞い上がり、 [00:42.00] [00:44.14]雨に打たれる事もなく自由に舞い踊り、短い生を謳歌する。 [00:50.30] [01:03.10] [01:06.56]廻れ廻れ報われぬ(願えども願えども願い叶わず) [01:13.09]道を紡ぐ我が子等(走れどただ走れども辿り着けずによ) [01:19.14]其の物語を風に乗せ(贖えど贖えど罪は消えずに) [01:26.12]いつか空へ葬ろう(廻れどただ廻れども終は視得亡い) [01:32.80] [01:44.40] [01:46.74]足跡鼓動は 終わりに向かい始まる [01:53.10]其れでも人は此方へと歩いて来る [01:59.68]歪な憂世を呪い悔やめど求めて [02:06.09]其れでも何も手にする事は出来亡い [02:11.50] [02:13.31]蹴落とされ殴られて雨に打たれ泣いて崩れ落ちて [02:19.67]渇く喉で叫んでも戦えなくて [02:26.12]奪い取られ支配され転がり落ち血を流していても [02:32.76]立ち上がり繰り返し 求め叫ぶ [02:39.00] [02:40.94]詠え詠え報われぬ(願えども願えども願い叶わず) [02:47.14]道を歩む我が子等よ(走れどただ走れども辿り着けずに) [02:53.47]其の物語を風に説き(登れども登れども墜ちて爪剥げ) [03:00.18]いつか天に捧げよう(戦えども戦えど癒えぬ傷だけ) [03:06.50] [03:19.00] [03:20.73]全ての出会いは 離別に向かい始まる [03:27.17]其れでも人は誰かの傍で生きたい [03:32.80] [03:34.34]裏切られ侮辱され足蹴にされ心を壊されて [03:40.76]裂けるくらい叫んでも声は出なくて [03:47.32]生きる事を否定され [03:50.77]幾度死のうと決意していても [03:53.99]這い上がって繰り返し 願い叫ぶ [04:00.50] [04:13.60] [04:15.69]音も亡く 灯火が消え、深い闇に沈み込んだ果て。 [04:22.60]其処に…冥府に咲くひとつの桜が在る。 [04:26.00] [04:29.82]花弁は数多の死を映して仄かに染まり、地に落ちては紅く染まる。 [04:37.29]暖かい春風に舞う幾つもの死を、あなたは奇麗だと云う。 [04:43.34]それがとても嬉しくて、私は…花弁の数だけ死を誘う。 [04:50.65]「こんなにも美しく咲く最期なら、彼等も報われたでしょう」 [04:55.00] [04:56.76] [05:00.68]今宵もまた、紫月の下に咲き乱れる。 [05:03.50] [05:07.82]思い思いに抗えど [05:10.54]残酷なセカイは等しく降り掛かり、(願えども願えども願い叶わず) [05:14.92]去れど人は、今を生きるより他に道は無い。(走れどただ走れども辿り着けずに) [05:20.96]「あなたも廻り、そして舞い散る。(贖えど贖えど罪は消えずに) [05:26.93]——死奏憐音、玲瓏ノ終。」 (廻れどただ廻れども終は視得亡い) [05:30.80] [05:32.68]咲かせ咲かせ報われぬ(歌えども歌えども歌は届かず) [05:39.05]道を歩む我が子等よ(手にしても手にしても壊れてしまう) [05:45.37]其の物語を抱きしめて(贖えど贖えど罪は消えずに) [05:52.03]いつか天に届けよう(廻れどただ廻れども終は視得亡い) [05:58.50] [06:00.00] [06:02.36]それでも人は、醜くも生きようとする。 [06:05.50] [06:09.01]それを私は、とても美しいと思う