連山を従えて水面(みなも)に(眺望絶佳(ちょうぼうぜっか)と)姿を鏡(うつ)す 靄(もや)降(お)りて白く光る涙の上に写す 梅の香(か)の側にさえある 富岳毅然(ふがくきぜん)と高く聳(そび)え立つ 一瞬(ひととき)も姿留めず落ち行く(飛沫(しぶき)が滔々(とうとう)と)川鳥(からがらす)飛び描く白い文様 爛漫の華咲かす悲運の公達(きんだち)の碑(唯夢の如く) 古く苔蒸(こけむ)して標消滅(しるしきえう)す 滝を神恐れてそして神へと(敬い続ける)祈る 千年の昔日も変わりなく湧(あ)ふるる清水(みず) 清冽な時代(とき)の流れ 山稜に沈む夕日 燃ゆる伊豆 サイの神 十日の生命(いのち)の源氏螢が舞う夜 竹林(ちくりん)の小径(こみち) 風の小径に変わる 滝を神恐れてそして神へと(敬い続ける)祈る 千年の昔日も変わりなく湧(あ)ふるる清水(みず) 清冽な時代(とき)の流れ 山稜に沈む夕日 燃ゆる伊豆 サイの神 枯野(からの)を塩に焼き其(し)が余り 琴に作り掻き弾くや「日本書紀」