[00:00.99]枕の下に時計を入れてみた。 [00:05.07]耳を当てると時は少し柔らかに聞こえた。 [00:15.00]秒針の残響音が嫌な感じで [00:22.09]一日のもがきを奏でているようだ。 [00:29.73]心臓がドキドキしているのがわかった。 [00:35.45]喉が乾き、闇を吸い込んでみた。 [00:39.74] [00:42.08]街の影が瞼に焼き付いている。 [00:49.24]それを巡るといくつもの言葉をなくした [00:56.28]誰かの表情が隣にいつもあったような気がする [01:05.93]すべての風景にはメロディーがある。 [01:11.34]彼は街のあらゆるオブジェと友達になれた。 [01:18.48]人はやがて彼を裏切ったが。 [01:22.54] [01:31.51]に詰まったコーヒーを出すさびれた喫茶店。 [01:36.89]ビルの片隅には錆びた鉄パイプ。 [01:41.47]ガードレールの上には空しい背中が並び、 [01:46.17]排気ガスを撒き散らす車の流れにはあきらめを感じた。 [01:52.91]空は隠れていた。 [01:58.79]彼は手にするものなど何もないと言って [02:06.23]笑ってみようとしたが、 [02:09.72]自分自身に感じる何かがひとつでもあれば、 [02:17.30]やっぱりすべてのものに [02:21.69]意味が隠れているような気がした。 [02:26.14] [02:27.74]背負い込むことより、 [02:31.72]優しく語りかけてあげたいな。 [02:37.71]だからこそ君がいて、僕がいて、 [02:45.81]ひとつにくるまるシーツがあって。 [02:53.70]君は昔のことを語ってくれた。 [03:03.07]僕はハンドルを握ると、 [03:07.12]君を掴まえたような気がしていた。 [03:11.52]雨は止まなかった。 [03:15.28]ラジオもとぎれとぎれに耳を澄ました。 [03:22.65]君の話しとDJのおしゃべりと [03:27.57]つなぎ合わせながら、僕はあらゆる言葉を [03:33.33]感じてメロディーを奏でた。 [03:38.77]彼女には全く話しを聞いていじゃない [03:43.09]と言って怒られたけれど、 [03:47.39]そこで、また新しいメロディーが生まれたよ。 [03:52.29] [04:18.23]振り返るとゴツゴツしていた。 [04:23.30]最終の電車よりも、もっと後の街にも、 [04:29.86]それでも人は生きていた。 [04:33.01] [04:34.93]闇の中に耳を澄ましてごらん。 [04:39.96]君の心の叫びは、 [04:46.07]すべての物との関わりの中から生まれるんだ。 [04:51.84] [04:59.97]おわり