僕はあの夜館抜け山し 急ぎ足で森に向かった 暗い森のアカシアの下 高嗚る胸を密に抑え 待てど暮らせど貴方は来ない 朝日が森を満しても 忌々しくまとわり付く いばらの蔓蹴らして 僕は待ち続ける月日流れて あゝ木々の梢が遠くなっても ここに居るよ躯朽ち果て 白い骨がヌッと突き出してもね 僕の骨は白々として 美しく貴方を待つ 水滴がこの眼窩を打つ 僕の上に季節が積もる 小煩い魂はとうに 遥か飛び去り輪廻の狭間 あばら骨雨が伝う がらんどうを風が攫う 僕は待ち続ける月日流れて あゝ木々の梢が遠くなっても ここに居るよ躯朽ち果て 白い骨がヌッと突き出してもね 僕は待ち続ける月日流れて あゝ世界が終りに近づいても ここに居るよ躯朽ち果て 黒い土に埋れ貴方を待つ