妾が欲しいか 喉に噛み付くか ならば受けよ 十束(とつかの)剣を 八つのその頭 八つ裂きにするか 目玉(めなこ)の味はどんなものじゃろか 妾が欲しいか ねぶってみたいか 若き乙女の赤き血潮を 八つの長き尾を 八つ裂きにするか 鬼灯の目はどんな味じゃろか 案山子案山子 いざ行け 秋風よ 吹けよ吹け 八塩折(やしおおり)の酒を飲んで そなたも 眠りたまへ あたたかな黄泉の国で 後(のち)に目を覚まさん 妾が欲しいか 首を切り裂くか ならば受けよ 十束(とつかの)剣を その背の 鱗(うろこ)に 隠してはいぬか さあ授けよ 天叢雲剣(むらくものつるぎ) 蟷螂(かまきり)よ いざ行かん 秋時雨 降れよ降れ 八雲立つ 出雲(いずも)この手で 平らかに治めよう いとほしと想うこと やがては失せん 八塩折(やしおおり)の酒を飲んで そなたも 眠りたまへ あたたかな我が腕でで 後(のち)に目を覚まさん 案山子(かかし) 案山子(かかし) いざ行け 秋風よ 吹けよ吹け 八雲立つ 出雲(いずも)この手で 平らかに治めよう いとほしと想うこと やがては失せん 八塩折(やしおおり)の酒を飲んで そなたも 眠りたまへ あたたかな黄泉の国で 後(のち)に目を覚まさん