[00:00.00] 作曲 : さだまさし [00:00.30] 作词 : さだまさし [00:00.90]歌:さだまさし [00:18.81]病室を出てゆくというのに [00:22.18]こんなに心が重いとは思わなかった [00:28.77]きっとそれは [00:33.08]雑居病棟のベージュの壁の隅に居た [00:40.20]あのおばあさんが気がかりなせい [00:47.73]たった今飲んだ薬の数さえ [00:51.69]すぐに忘れてしまう彼女は しかし [01:02.66]夜中に僕の毛布をなおす事だけは [01:09.62]必ず忘れないでくれた [01:16.57]歳と共に誰もが子供に帰ってゆくと [01:23.50]人は云うけれどそれは多分嘘だ [01:30.70]思い通りにとべない心と動かぬ手足 [01:38.08]抱きしめて燃え残る夢達 [01:45.86]さまざまな人生を抱いた療養所は [02:00.41]やわらかな陽溜りと かなしい静けさの中 [02:35.23]病室での話題と云えば [02:38.80]自分の病気の重さと人生の重さ それから [02:49.77]とるに足らない噂話をあの人は [02:56.64]いつも黙って笑顔で聴くばかり [03:04.34]ふた月もの長い間に [03:07.78]彼女を訪れる人が誰もなかった それは事実 [03:18.80]けれど人を憐れみや同情で [03:25.72]語れば それは嘘になる [03:32.65]まぎれもなく人生そのものが病室で [03:40.04]僕より先にきっと彼女は出てゆく [03:47.18]幸せ 不幸せ それは別にしても [03:54.83]真実は冷やかに過ぎてゆく [04:02.29]さまざまな人生を抱いた療養所は [04:16.88]やわらかな陽溜りと かなしい静けさの中 [04:31.36]たったひとつ僕にも出来る [04:34.86]ほんのささやかな真実がある それは [04:46.18]わずか一人だが 彼女への見舞客に [04:53.14]来週からなれること