LとR ふたりで一つずつ耳につけた 同じ制服 寝むたげな顔 物憂い会話 乗せて走るバス 左にいるのにR 右にいるのにL 不思議がる君の すこしの身じろぎで イヤフォンコード引っ張られて 僕は黙って首を左に傾ける それだけのことが誇らしかった 世界中のおとなと子どもの憂鬱を 苛立たしさを 不機嫌を 煩悶(はんもん)を 重圧を 摩り切れた声で 歌っている歌 何者かになれって 煩く要求する社会から 逃げだしたがっている だけど逃げ道はLとRが塞いでる 歌い手の悲鳴が僕たちを満たす LとR いつから違う音が聴こえてた? 膝をたたく指先のリズム 気づけばすこしずつずれはじめてた このアルバム終わるまで 乗っていこうよって 君が言ったから 内緒でリピートにした でも学校前のバス停 忘れて君は スクバ提げて立ちあがった イヤフォンコード引っ張られて抜けた 僕たちの中の未熟であやふやな 息苦しさを 不愉快 違和感を 倦厭(けんえん)を かわりに言葉にしてくれた歌 何者かになれって 煩く要求する社会から 逃げだしたかったんだ だけど逃げ道は LとRに閉じ込める 僕たちの悲鳴は僕たちを焦がす もし君がこのイヤフォンをアンプに替えて みんなでこの歌を歌おうと言うのなら 僕はアンプをぶっ壊すだろう I beg your hate