Color 1 チェンジ A—前に声をかけた男 B—姫のお世話係 A:ああ よかったですね 大事にならなくて B:姫様 ああ よかった 見つかって 黙って一人で部屋を出るなんて 何を考えて あっ 姫様じゃないですね A:えっ B:あなた どちら様ですか A:えっ ええ 別人 ま、まさか だって この顔 この背格好も 姫様に瓜二つ B:お世話係の僕が間違えるわけないでしょう エスピーになったばかりの君には わからないかもしれないけど この方は姫様じゃありません 赤の他人です A:そんな… あ ちょっと失礼します はい はい えっ あっ じゃ やっぱり わかりました B:なんですって A:あの 本物の姫は ホテル前でタクシーに乗り 走り去ったとのことです 今ほかのエスピーたちが追跡しています B:ああ 嫌な予感がしていたけど バトラーに伝えてきます A:あ なんてことだ あっ ああ すみません あなたのことを置いてけぼりにしてしまって ええと 状況を説明しますね 実は今我がヤン公国の姫が 親善大使として訪日しているんですが あっ あはは その顔は ご存じないみたいですね あっ いえいえ 謝らないでください 無理ないですよ 小国ですし 報道もあまりされていないようですし で その姫が数日前より このホテルに滞在していたんですけど はい 勝手にどこかへ 出掛けてしまったみたいで エスピー総出でお探ししていたところ 私があなたを姫と勘違いしてしまったと えっ 間違いはだれにでもある ですか あはは 確かにあなたのおっしゃるとおりだ 悔やんでいるだけでは何も変わりませんね 大事なのはこれから どうやって事態を好転させるかだ 姫の行方はほかのエスピーが追っていますし 私も最善を尽くしましょう あと お引き留めしてすみません ロビーまで送りします            あは いえ これくらいは当然 B:バトラー こちらがその女性です バトラー:なるほど これでは間違えても無理はないですな 姫にとてもよく似ている お嬢さん あなたに折り入って願いがあります ほんの少しの時間でかまいません 姫が戻られるまで どうか姫の代役を務めていただけませんか