バトラー:どうぞ召し上がってください お口に合うといいのですが あ こちらに座ってもよろしいでしょうか ありがとうございます Color 2 お姫様ごっこ バトラー:今日あなたはどういった用向きで ここへいらっしゃったんですか おお お兄様の忘れ物を届けに なるほど なるほど それではわたくしたちはあなたのお兄様へ お礼を言わなければなりませんね 姫がホテルを抜け出したことを あなたもご存知かと思いますが 今日姫には別の予定が入っておりました ですが 急遽それが変更となりまして 夜まで予定が空いてしまったんです 本来ならば ホテルで休養を取るべきところなのですが 今がチャンスとでも思われたのでしょうね 一人も伴をつけずにお出かけになってしまい ああ 姫の行方でしたら エスピーが追跡しておりますので 把握しております どうぞご心配なく ただ 一つ問題がありましてね 今日姫がおひとりで予定外の外出をしていることは 当然ながら 公表するわけにはまいりません 初めての親善外交で無茶をされたことが 本国に知れては何かと ね そこで あなたに折り入って頼みたいことがあるのです 姫がお戻りになるまででかまいません 姫のふりをしてはいただけないでしょうか 今日は公式な行事はありませんし 来客の予定もございません ただこの部屋で過ごしていただけるだけで十分です お手間は取らせませんので どうかお願いできませんか そういえば お兄様へのご用事がまだ 済んでいらっしゃらないのでしたな よろしければ 代理の者に行かせましょう すぐに手配いたします それならよろしいですか ありがとうございます では 早速 フランク:失礼いたします バトラー:フランク 引き受けてくださるそうです フランク:本当ですか ありがとうございます バトラー:すぐにセンインを呼んでください それと 姫のお召し物の用意を フランク:はい ただいま *フランク—姫のお世話係 バトラー:ははは そう緊張なさらないでください あなたはただおてんばな姫がお戻りになるまで こちらでゆったりと過ごしください わたくしたちもあなたのことを姫と呼ばせていただきます ほんの一時ではありますが あなたも本物の姫気味になったつもりで わたくしたちに接してください 口調も砕けたものでかまいませんよ 姫はとても気さくな方ですから おお 意外ですか 王族とはいっても あなたと同年代なのですよ 公の場合以外では普通の… いえ 少々活発すぎるくらいです ですから あなたもどうぞリラックスしてください それでは これから少しの間 どうぞよろしくお願いします 姫