[00:05.0]お前、目が冴えちゃったの? [00:09.30]そっか。それじゃ、しばらくは眠れそうにないね。 [00:15.10]まあ、眠れないなら、起きてればいいよ。 [00:19.72]僕は先に寝ちゃうかも知れないけど。 [00:27.55]嘘だよ。もしかして本気にした? [00:32.0]お前の反応を見るための冗談に決まってるでしょう。 [00:38.0]ちゃんと起きてるよ。 [00:41.0]お前が寝るまで、まあ、付き合ってあげる。 [00:47.50]ん?本? [00:50.61]おお、さっき僕が読んでた本が気になるの? [00:56.90]あれは、仕事の資料として借りてる童話だよ。 [01:03.25]そうだ、せっかくだから、お前にこの本の感想を聞いてみようかな。 [01:12.25]実は、この童話のキャラクターグッズを作ることになって、そのプロモーションを任されたんだ。 [01:20.75]ターゲットは若い女性だから、お前の意見は参考になると思うけど。どう? [01:29.60]そう。それならよかった。 [01:36.80]それじゃ僕が話してあげるから、お前は大人しく聞いててね。 [01:47.00]猫と海の物語。 [01:51.25]ある所に、平和で幸せな毎日を過していた猫がいた。 [01:59.30]その猫は、いつものように、散歩に出たんだけど、何を思ったのか、普段と違う道を通ってみることにしたんだ。 [02:12.00]すると、見たこともないくらい、大きな大きな水溜まりを発見した。 [02:21.51]猫は、其の水溜まりに兴味を持ち、水を飲もうと進づいていったんだけど、通りがかりの猫に、「あの水は塩辛いから飲めないよ。」と言われてしまう。 [02:40.00]ん?お前は分かった?水溜まりの正体。 [02:50.0]そう。海だったんだよ。 [02:56.62]猫は、それから海のことが気になって、毎晩遠くから海を眺めることにしたんだ。 [03:05.50]近くで見るのが、恥ずかしがったなんだろうね。 [03:12.49]仲間の猫たちは、「猫がいつも远くまで散歩に行くから、好きな猫に會いに行ってるんじゃないか。」って、噂をした。 [03:25.62]猫は、好きとういう感情を、今まで知らなかった。 [03:32.5]だから、仲間の猫たちがした噂は、海のことが好きになったのかもしれないと、猫が意識をするきっかけになったんだ。 [03:46.60]そこで、猫は近づき、海の颜を見て、自分は本當に海のことを好きになったのかどうか、確かめることにした。 [03:59.69]だけど、颜は見えず、その替わりに、自分の姿が映ったので、猫は逃げてしまった。 [04:13.55]猫が逃げたのは、自分の颜を見せてくれない海に、嫌われたのかも知れないと思ったからなんだよ。 [04:24.30]昔から、「恋をしたら、臆病になる」って言うでしょう。 [04:30.55]もうこの時点で、猫は海に恋をしていたってことなんだろうね。 [04:42.00]その一件以來、猫は海に進づくのは止めて、海のことを考えないようにしたんだ。 [04:51.16]だけど、何をしていても、考えるのは海のことばかりで、忘れることができなかった。 [05:01.40]そこで、猫は遠くからでもいいから、海のことを一目见れば、忘れることができるんじゃないかと思ったんだ。 [05:15.0]猫はわざわざ、皆既日食の日を選んで、海のところへ行ってみることにした。 [05:24.53]え?何で猫はその日を選んだか。 [05:30.00]お、何でだっけ? [05:35.00]ん、ちょっと忘れちゃった。 [05:40.10]また后で読み返してみて、何でか分かったら、教えてあげるよ。 [05:47.51]猫は远くから海を眺めようとすると、海が、「私のことが嫌いですか」と聞いてきた。 [05:59.18]うん、そう。 [06:02.50]海も猫と同じようなことを考えてたみたいだよ。 [06:08.55]だから、お互いがどう思っているのか、二人は話してみることにしたんだ。 [06:18.50]猫は驚いて、海の方こそ、自分のことが嫌いだったんじゃないのかと聞き返すと、海は違うんだと話し。 [06:29.40]猫が自分のもとへとやって來ることが、嬉しがったんだと打ち上げたんだ。 [06:38.26]猫が遠くから眺めていたことを、海は実は知ってたんだ。 [06:45.31]だけど、やっと自分に近づいてきてくれたのかと思ったら、猫は逃げてしまったから。 [06:53.10]すごく寂しかったと话した。 [06:58.0]今度は猫が、「だって、海の颜を见ようと近づいたら、あなたの颜ではなく、仆の颜が映ったから。僕に近づかないで欲しいと、海が言ってると思った。だから逃げた。」と打ち上げた。 [07:18.40]そうしたら海は、恥ずかしそうにこう言ったんだ。「私には颜がない、だけどその替わり、自分の気持ちを水面に映すことができる。だから猫の姿が映ったんだ。」と。 [07:42.0]あふふふ~、気障だよね。なかなかこんなこと言えないよ。 [07:51.10]お前がもし海だったら、何を映るのかな。 [07:56.95]いや、誰が映るのかな。 [08:05.41]そこで、猫と海はお互いの好きという思いを伝え合って、いつまでも仲良く暮らしたんだ。おしまい。 [08:20.85]どうだった? [08:26.55]そう。お前が気に入ってくれたなら、今回のプロモーションは好感触を得られそうかな。 [08:35.45]うん、それにしても、この物語は現実の恋愛でもよくありそうな話しだね。 [08:44.62]恋愛は1人でするものじゃないから、気持ちのすれ違いはどうしても起こることだと思うよ。 [08:53.20]どんなに仲がよくでも、同じ人間じゃないからね。 [08:59.70]そういう時に、お互いの気持ちをうまく汲み取ったり、猫や海のように伝え合ったりすることが、ちゃんとできたらいいんだろうね。 [09:11.20]ん?何?もしかして、僕達も、気持ちがすれ違うんじゃないかって、心配してるんの? [09:27.31]これから起こるであろうことをあれこれ心配しても、仕方のないことだよ。 [09:33.10]だったら、今どうあるべきか考えろ方がいい。 [09:40.65]例えば、お前は僕にどう可愛がってもらいだいんだろうとか考えたり、ね。 [09:50.0]ふふふ、でも、そう思うってことは、何が心に引っかかれてもあるの? [10:02.80]僕がお前に愛してるって言わないから。 [10:06.55]ふ~、好きじゃないんだよ。 [10:11.10]簡単に愛してるとか、好きだとか言うのが。 [10:18.50]もし愛してるって言葉を、毎日何千回言ってたら、きっとどんどん意味が軽くなっていくと思うんだ。 [10:30.11]そうしたら、本當にお前に伝えたくなった時に、使えないよね。 [10:40.0]だから嫌なんだ。 [10:44.50]でも、お前が不安に感じてるなら。 [10:49.90](チュー) [10:53.0]僕なりにお前への思いを表現してみるよ。 [10:57.75](チュー) [11:01.0]ううう、これだけじゃ、足りないな~ [11:09.15](チュー) [11:10.65]ふふ、さあ、どこまでキスするのかな。 [11:17.42]僕にも分からない。 [11:21.75]だって、お前を思う気持ちは、これだけじゃ表現しきれないからね。 [11:33.75](チュー×3) [11:40.82]やっぱり、これでも足りないな~。 [11:47.51]あとは、どこにキスをすればいいかな。 [11:54.5]ふ~、分かってくれたの。 [11:59.20]へぇぇぇ、僕の思いがこれだけだと思ってるんだね。 [12:14.58]何目を瞑ってるの。 [12:18.40]そんなのは許さないよ。 [12:22.75]瞑ってもいいのは、僕がお前の瞼にキスしてる時だけ。 [12:34.15](チュー×2) [12:40.10]僕はどれだけお前を思って、どこにキスをするのか、ちゃんと全部見てくれないと。 [12:55.51]お前を、愛してる [13:02.20]うふふふ~何、そんなに嬉しがったの。 [13:10.30]僕だって、たまには愛してるって言うよ。 [13:15.60]言うのは好きじゃないけど、別に言わないって言ってないでしょう。 [13:21.30]それに、今はそういう気分だったし。 [13:28.85]この分だと、きっとキス以上のことをしてみても、表現しきれなさそうだね。 [13:37.85]それくらい、どうしようもなく、僕はお前のことを思ってるんだよ。 [13:46.0]だから、お前の心配する時間は无駄。 [13:52.45]その時間は、僕を思う時間に変えてよ。 [14:04.20]それで、この胸を、僕で一杯にして。 [14:12.15]僕だけしか、思うことができないようにね。