[00:04.32]「寒いなぁ~今宵冷えるだろうなぁ~それにしても、暇だ。図書館で万葉集の資料でも探すか。」 [00:16.30]僕は遊びに行くまでの時間を潰すために、校内をふらふらとしていた。 [00:29.97]「図書館来るのは久しぶりだなぁ~あれ?あの横顔は…」 [00:42.26]「姫、お迎えにあがりました。って、冗談だよ。いつも講義が終わると、すぐどっかに行っちゃうと思ったら、ここにいたんだね。 [00:55.35]あっ、ごめん~読書の邪魔しちゃった?少し隣に座っていい?大丈夫、静かにしているから。」 [01:12.82]「ん?僕?時間潰しに来たんだよ。じゃなきゃ、僕がこんなとこに来るわけないじゃん。外寒くて、避難ついでに~ [01:25.61]それに、遊びにいく約束もあるし。本を読んでる君の姿が見えたから、思わず声かけちゃった。 [01:36.49]夢中で読書してる姿、綺麗だなぁって。嘘じゃないよ。君の横顔、とっても綺麗!」 [01:48.09]「窓際のこの席いいねぇ~外の景色がよく見える。あ~何だか眠くなってきた。ん?寝てでもいいよって?じゃあ、すこしだけ。 [02:08.69]ねぇ、手、握ってでもいい?片手があれば、本読めるでしょ?フフ~君の手、暖かい。緊張してるの?でも大丈夫~何もしないから。おやすみ~」 [02:35.17]外はまだ北風が吹いている。でも、手から伝わる彼女の体温は心地よかった。 [02:44.15] [02:47.57]『吾妹子に恋ひてすべなみ夢見むとわれは思へど寝ねらえなくに』 [02:56.74] [02:58.96]僕は彼女に恋をしてしまった。夢の中でいいから、彼女に会いたい。でも、彼女を思うと眠れない。 [03:10.74]僕が眠りから覚めても、彼女は変わらず隣で読書をしていた。手はずっと握ったまま…