最初から 「もしもし?僕。いま大丈夫?久しぶり。もう一ヶ月ぐらい経つかなぁ~全然連絡なかったから、思い切って連絡して見た。僕?すこし疲れてたけど。君の声聞いたら元気が出たよ。ずっと待ってたんだよ、君からの連絡。仕事が忙しくてかける暇がなかった?へぇ~僕は君にとってそんな存在なんだ?せっかく携帯の番号を教えてあげたのに、悪い子だね。じゃあ、罰として、今週末二人っきりでご飯食べに行かない?いいところ知ってるんだ。断ったりなんてしないよね。断ったら、お仕置きだよ~詳しい待ち合わせ場所と時間は後でメールするよ。あっ、まだ切らないで!一つ聞いてもいいかなぁ?いま、好きな人とか、付き合ってる人…いる?…好きな人が、いる…へぇ~どんな人?え?言い辛いって?フン~そっかぁ。次に会ったときに教えてね。うん。じゃあ、また。」 「はぁ…」 電話が切れると同時に僕は深いため息をついた。彼女に好きな人がいる。でも…それは彼女を責められることではない。いつか彼女も誰かと付き合い、結婚をして、暖かい家庭を築いていく。でも…僕は、友達だ。恋愛に対して本気になれない。いまの僕では彼女と付き合う資格すらもない。僕は…彼女を自分だけの物にしたい。大切にしたい。世界で一番誰よりも…彼女が好きだ!でも…この気持ちに気づいたと同時に…僕は、失恋をした。 『今更に何をか思はむうちなびきこころは君に寄りにしものを』 この胸の奥底にあった気持ち、もう見てみぬフリはやめよう。この心は…最初から君だけのもの。 初恋は叶わない。誰かが言ったその言葉を、僕は頭の中で何度も思い出していた。