「大丈夫?道、こっちであってるよね。」 飲みすぎた彼女を家まで送ることになってしまった。普段はそんなに飲むタイプじゃないのに… 「鍵開けたよ。電気どこ?ベッドは?こっち?」 「ドアの前においていてよかったのにって?女の子を一人にしておけないよ。まったく、君はかわいいんだから、もう少し自覚を持たなきゃだめだよ。もしあの場所に僕がいなかったらどうなってたかぁ…」 「もう眠いの?しょうがないなぁ~眠るまで手握っててあげるよ。君の手、暖かいね。このままずっと傍にいるから、安心して。」 <キス> 「ごめん…」 <キス> 空ろな彼女と目が合って、僕は一気に酔いが覚めた。いくら彼女が酔っているからといって、またキスをしてしまった…しかも、それ以上をしようと… 「はぁ、無防備すぎるんだよ!バカ…今日はもう帰る。ちゃんとあとで鍵閉めておきなよ。…それと…ごめん。」 僕は、彼女の顔も見ずに足早に部屋から出て行った。彼女の部屋のドアを閉めて、僕は…その場に思わず座り込んだ。 「何してんだろう、僕…」 『さ寝そめていくだもあらねば白たへの帯乞ふべしや恋も過ぎねば』 もっと君を抱きしめていたい。愛したい。でも…君は僕の手の中から逃げていく。 彼女を目の前にすると、理性が利かない。僕は一体どうしてしまったんだろう。