ある日
あなたは森へ行く
誰も棲まない
その奥へ
きれいな泉
湧き上がり
そっとあなたは口づける
晴れることない
霧が溶け
枝は光を抱きしめる
白や黄いろの蝶が舞い
花は開いて
実を結ぶ
今私は
生きていると感じる
目を閉じても
あなたが見えているから
何よりも強く
ある日
あなたは森を出る
足跡ひとつ
残さぬよう
泉はいつか
泥の中
朽ちた木の葉が
揺れるよ
でも私は
生きていると感じる
目を閉じれば
あなたに会えることを
もう知っているから