逃げ惑う影に 追いすがる狂気の足音、迫る  ――躊躇いはない 迷いなど不要    またいつも通りの日々を取り戻すだけさ    これは悪夢だ 引き金を引けば    またいつも通りの朝が訪れるだけさ    俺なら出来る 全て終わらせて    またいつも通りの君に会いにいくだけさ 頬を掠めた銃弾は惜しく 錬瓦の壁を打ち砕いて 次はお前だと言わんばかりに 嗤う擊鉄、満ちた殺意  ――信じてるんだ ただ何故か少し    歯車が嚙み合わなくなってしまっただけ    直したいんだ あるべき姿へ    またいつも通りの日々を取り戻すだけさ 逃げ惑う影に 追いすがる狂気の涙に、気付かない  「信じられない、これが、現実で?   もう、いつも通りの、日々が、戻らない、なんて」 その瞳はまるで飢えに飢えて 極限を視た狼のよう 気が付けば片隅へ追いやられ 非情な壁が影を囲む