ゆく夏に 名殘る暑さは 夕燒けを吸って燃え立つ葉雞頭 秋風の心細さは コスモス 何もかも捨てたい戀があったのに 不安な夢があったのに いつかしら 時のどこかへ置き去り 空色は水色に 茜は紅に やがて來る淋しい季節が 戀人なの 丘の上 銀河の降りるグラウンドに 子供の聲は犬の名をくりかえし ふもとの町へ掃る 藍色は群青に 薄暮は紫に ふるさとは深いしじまに輝きだす 輝きだす