通り往く夏の空 虚し身に揺れる影 衣摺れの手鞠唄 未だ知らぬ母の音 名もなき 流離ひ 途切れた明日に 答えても ついてくるのは 風ばかり 花は匂えど 枯れるさだめ 堕ちてゆくのさ 何処までも 囁く 隠り世 紅に哂う空 振り仰ぐ遠い夏 目隠しの通せん坊 未だ見ない雪の色 迷ひの 調べに 閉ざした昨日 なぞる指で 誰の心に 呼びかける 眠れる君は いつの日にか 咲き誇るだろう 何度でも 爪弾く 隠り世 二度とかえらぬ 物語を ただ一度だけ 辿る奏で 遮る翅は 何を宿す それは燐粉の みせた幻 綾なす 夜明けに