連れて行って 遠い国へ 雪解けから 花咲く間に ふかい森のなか ひそやかに眠る ふるいお屋敷は わたしの棺 朽ちた蔓薔薇の 門が開いたら 柱時計の夜に 踊るアンドゥトロワ 空をみていた 鳥が囀る物語の空 海のむこうの 軋む歯車の船が待つ海 雪が花になる時に わたしも消えるでしょう 届かない手紙 枝に結ぶ指 桜のつぼみも 幻織る季節 絡む繻子の緒を ほどく指と指 啼き合わせた夜の 花一匁 空をみていた この身を焦がす物語の空 海のむこうの 霞む泰西の船が待つ海 花を散らす嵐に わたしも消えるでしょう ひそく森のなか かれの手にひかれ ちがう国へゆく わたしは誰