傘さして 濡れに廓の夜の雨 店清掻に声添ふる 鐘は上野か浅草に その名も伊達な花川戸 この鉢巻の紫は 由縁ぞかかる藤波の 洗うて千代の色まさる 松の刷毛先 透き額 堤八丁衣紋坂 通ひ馴れたる塗鼻緒 一とつ印籠一とつ前 二重廻りの雲の帯 さした尺八鮫鞘は これ御存じの出立栄