今ここで抱き合ってしまえば 失うものはいくつあるだろう むつみあう恋人たちを眺め やがて二人は黙りこむ 川下で突然上がる花火の残像 火薬の残り香の中で あなたのその髪に触る幻 何一つ 核心には触れぬ 二人を染める古都の夕焼け 橋を歩く無数の影は まるで幻灯機の 思い出のようだね “これからも好きでいます” 眼差しの中へとはつかたり 川下で突然上がる花火の残像 真夏の残り香にむせぶ 甘くて歯痒くて 短いストーリー “これからも好きでいます” そして歩きだす帰り道 川下で突然上がる花火と歓声 火薬の残り香の中で あなたのその髪に触る幻 “これからも好きでいます” 遠ざかる川辺にはただ たゆたう思いとざわめきの跡