それはまだ 始まったばかりの 恋とも言えないような恋でした。 少女は震えながら 心の中で つぶやき続けていました。 好きです、とっても。 大好きなんです。 見つめています、いつまでも。 あなただけを。 街はずれの教会を シルクのような霧雨が 包んでいます。 傘もささずにレンガの 階段に凭れていると 遠い街灯りが いくつも輝いては 滲んでいきます。 あの人はガードレールを 飛び越えて 空の向こうに 何を見たかった のでしょうか? あの人が星になった なんて嘘てすよね…… 雨のカテトラル 私は一人きり 悲しみに唇 そっと噛んでた 雨の雫を 瞳の中に受け止めて 「神様あの人を返して下さい」 ステンドグラスの陰で 接吻してくれた あの日も雨でした。 ポプラの木に刻んだ 2人のイニシャルにも 傘をかけて あげましたね。 そんな思い出の ひとつひとつが 私の心の中に 雨を降らせて いるようです。 雨のレクイエム 心も泣きながら ぼんやりと思い出 拾い集めた もしも私が 代わりに なって死ねたなら こんなに悲しくは なかったけれど…… 雨のカテドラル 悲しい物語 あの人を突然 奪いさられて 濡れた身体を どうしていいかわからない 「神様この雨は嘘だと言って」 大切な大切な あの人がいなく なってしまいました 神様 教えて下さい 量子は…… 量子は……