螺旋の階を駆けて 幾多の夜が逆巻く空木(うつぎ)ノ穹(そら) 古の御代(とき)より 嗚呼 救いなど無く 唯 死に縋り 奪い合う慈悲(いと) 歪んだ片笑みが 世界さえ塗り替えて 闘う為の舞台を飾る 刻(とき)は来りて 天の声が鐘を鳴らし 誰を導く 螺旋の階の奥で 乾いた蝶が崩れる様は 十六夜の月の如く 欠けた命の危うき美しさよ 蝋で封じられし 亡者等の言の葉 残るは一つ 奪い合う羽 無数の抜け殼は 兵の成れの果て 闘う為の刀は此処に 刻(とき)は過ぎ去る 土を割りて灰を散らせ 紅き焔(ほのお)で 十字路に蔓延る影は 痛みも楽も知らず彷徨う 陽炎の風の如く 在り得ぬ心満たす空白のゆめ 誰かが 掴んだ脚 嘆きの沼 刻(とき)を隔てて 其の想いが闇を払い 君と繋がる 螺旋の境界を曝け 骨に絡んだ泥の人形 有明の月の如く 少女の刃 妖しく耀きて 螺旋の階を駆けて 幾多の夜を鎖した嵐 永久(とこしえ)に続くならば せめて照らせよ 届かぬ空木(うつぎ)ノ穹(そら)