前文 橋本さんは留学生寮で李さんを持てなしました。 中国の人に珍しいだろうと思って、橋本さんは日本料理をたくさん作りました。 二人は、食習慣やお酒のことなどについて、いろいろ歓談をしました。 しばらくたって、李さんも杏花楼で橋本さにん中華料理をご馳走しました。 杏花楼は、料理が美味しく、外国人もよく来る所だそうです。 橋本 さんは中華料理がまだ五回目なので、李さんはたくさん注文しました。 会話 橋本 :李さん、明日、お暇でしょうか。 李:ええ、何か…。 橋本 :ご都合がよろしければ、留学生寮で、食事でも一緒にしようかと思って。 李:それはどうもありがとうございます。 こちらからも何か持って行きましょうか。 橋本 :いいえ、何も持って来る必要はあるません。 ご心配なく。 李:では、明日、おじゃまします。 橋本 :じゃ、明日、お待ちしています。 (留学生寮で) 橋本 :李さん、何もありませんが、どうぞ。 李:では、遠慮なくいただきます。 橋本 :まず、乾杯しましょう。 では、李さんのご健康をお祈りして乾杯しましょう。 李:橋本さんのお幸せを祝福して乾杯しましょう。 橋本 :乾杯! 李:乾杯! 橋本 :中国の方にめずらしいだろうと思って、日本料理を作りました。 お口にあうかどうかわかりませんが、どうぞ、お寿司を召しあがってください。 李:このお寿司はなかなかいい味がしますね。 これを食べたら、もう町のお寿司は食べたくありませんね。 橋本 :おそれいります。 ところで、お国ではお寿司なんかは食べないと聞いていますが…。 李:はい、中国では、普通、お米をご飯にして食べるのです。 そのほかに、餃子や肉饅頭なども主食として食べますが、お寿司はありません。 橋本 :ところで、清酒はいかがですか。 李:少しいただきます。 橋本 :お国のお酒はアルコール分が高いと聞いていますが。 李:そうですね。有名な茅台酒は五十五度もあります。 橋本 :そうですか。それでは、中国の方はみんなお酒に強いのですね。 李:いいえ、そうとは限りませんよ。 たとえば、私はお酒に弱いんです。 橋本 :そうですか。 さあ、どうぞ、冷めないうちに、もっとたくさん召し上がってください。 李:いいえ、もうおなかがいっぱいです。 今日はすっかりごちそうになりました。 橋本 :いいえ、お粗末さまですた。 (二) 李:橋本さん、今晩お暇ですか。 橋本 :こんばんは約束があって、ちょっと都合が悪いんですが。 李:そうですか。明日の晩はいかがですか。 橋本 :はい、空いていますが。 李:じゃあ、一緒に食事をしましょう。 今度私がご馳走しますから。 橋本 :どうもありがとうございます。どこでですか。  李:杏花楼です。人民広場のすぐそばなんですが、分かりますか。 橋本 :だいたい分かると思います。何時頃行ったらいいですか。 李:そうですね。六時ごろはいかがですか。 橋本 :はい、じゃ、明日の六時に。 (杏花楼で) 店員:いらっしゃいませ。何名様ですか。 李:二人です。 店員:どうぞ、こちらへ。 李:ここの料理はうまいんですよ。外国人もよく来るんです。 橋本 :そうですか。 李:橋本さんは、中華料理は何回目ですか。 橋本 :五回目です。料理の名前はまだよくわかりません。 李:じゃ、今晩ゆっくり食べてみましょう。(店員に)メニューをください。 店員:はい、どうぞ、何になさいますか。 李:かにの姿蒸し、田うなぎの揚げ物、酢豚…をお願いします。 店員:はい、かしこまりました。お飲み物は何になさいますか。 李:橋本さんは何にしますか。 橋本 :私はビールにします。李さんは。 李:私もビール。じゃ、ビール(を)二本ください。 店員:はい。少々お待ち下さい。 店員:おまたせしました。 李:さあ、かにが来ましたよ。どうぞ、召し上がってください。 橋本 :遠慮なくいただきます。うん。なるほど…。うまい。 李:ビールもう一杯いかがですか。 橋本 :いいえ、もう結構です。 李:お料理をもう少し取りましょうか。 橋本 :いいえ、もうたくさんいただきました。 ほんとうに美味しかった。ご馳走さまでした。 李:いいえ、どういたしまして。 それではそろそろ出ましょうか。 橋本 :そうですね。 李:(店員に)勘定してください。 店員:はい。二百六十五元になります。 李:(金を出す)はい。 店員:伝票をどうぞ。どうもありがとうございました。 読解文 現代の食生活 食生活は風土や生活水準、生活様式などと、深い関係があります。 中国では、二十世紀八十年代改革開放後の経済高度成長期に入ると、 個人の所得が著しく伸びて、どの家庭もテレビや洗濯機などを使い、 家事の負担が軽くなりました。 こうした所得の伸びや生活様式の変化は、 食生活にも大きく影響し、人々の食べ物の量や質、 そして食事についての考え方を変えました。 たとえば、以前は米、肉、魚が中心の食事でしたが、 現在では、パン、乳製品などが多くなりました。 また、人々が、お茶よりコーヒー、紅茶、コーラ、 ジュースなどを好み、 紹興酒や白酒のほかにビールやウィスキー、ワインなどを多く飲んでいます。 とくに若者の食生活が大きく変わりました。 コンビニエンスストアやファミリーレストラン、 ファーストフードなど外食産業が急激に発展するとともに若者の生活の国際化が顕著になりました。 このような急激な変化の背景には、核家族化や少子化が進んで、家族団欒で食事をする機会が減っているという原因があります。